インプラントの材質の種類と特徴について解説
はじめに
インプラント治療に使われる材質には、どのような違いがあるのでしょうか?
インプラントは、上部構造と呼ばれる人工歯、骨に埋め込まれるインプラント体、それらを連結するアバットメントの3つの構造に分かれています。
それぞれに使用される材質は、見た目や耐久性、治療の成功率に影響します。
これらの特徴を理解し、自分に合った治療法を選びましょう。
目次
01.インプラントの構造
02.上部構造の材質
03.アバットメントの材質
04.インプラント体の材質
05.インプラントの材質を選ぶ注意点
06.エクシアデンタルクリニック墨田のインプラント治療
インプラントの構造
インプラントの構造は、主に以下の3つのパーツから構成されています。
●フィクスチャ
インプラント体、人工歯根とも呼ばれます。
フィクスチャは、顎の骨に埋め込まれるチタン製のパーツで、インプラントの土台となる部分です。
この部分が顎の骨と結合することで安定した咬合力が得られます。
チタンは骨との結合性が高く、生体親和性に優れているため、長期間の安定と使用に向いています。
●アバットメント
アバットメントは、フィクスチャと人工歯(クラウン)を接続する役割を果たす部品です。この部分は上部構造を支える重要な役割を担います。
また、この部分に調整を行うことで噛み合わせの強さや角度を変えられます。
材質は金属やセラミックが一般的です。
●クラウン
クラウンは天然歯に代わる人工の歯冠部分で、外見や機能などが天然な歯と似せて作られます。
セラミックやジルコニアなどの素材が使われ、周囲の歯との調和や噛み合わせが重視されます。
インプラントはこれら3つの構造により、機能的かつ審美的な補綴物としての役割を果たします。
上部構造の材質
インプラントの上部構造は、見た目や機能、耐久性などを左右する重要な構造です。
それぞれの材質には特徴があり、患者様の状況やニーズに応じて選ばれます。
ここでは上部構造の主要な材質について、それぞれの特性や利点、課題を詳しく解説します。
オールセラミック
オールセラミックは、金属を一切含まない陶器の素材で構成されています。
この材質は透明感や色調が天然歯に近く、特に前歯など審美性が重視される部位に適しています。
見た目が美しいだけでなく、金属アレルギーのリスクがないため、金属アレルギーの患者様も安心して使用できます。
また、変色しにくい特性があり、長期間にわたり美しい状態を保つことができます。
一方で、強度がやや劣るため、強い衝撃を受けると破損する可能性があり、奥歯など高い咬合力が強くかかる部位には適さない場合があります。
また、費用が比較的高額であることも考慮すべき点です。
ハイブリッドセラミック
ハイブリッドセラミックは、セラミックとレジン(樹脂)を組み合わせた複合素材です。
この材質はセラミックの審美性とレジンの扱いやすさを兼ね備えています。
費用面でもオールセラミックに比べて抑えられることが多く、出費を抑えられる選択肢といえます。
虫歯治療時の被せ物としては、部位によっては保険診療の範囲内で扱える素材です。
ただし、使用期間が長くなるとレジン部分が摩耗し、見た目や機能が劣化することがあります。
また、色調や透明感はオールセラミックほど自然ではない場合があり、審美性を優先する患者様は注意が必要です。
ジルコニア
ジルコニアは非常に高い強度を持つ素材で、人工ダイヤモンドの一種です。
金属に匹敵する耐久性があります。
そのため、奥歯など咬合力の強い部位にも適しており、破損のリスクが低い点がメリットです。
また、金属を使用しないため金属アレルギーの心配がなく、審美性にも優れています。透明感はオールセラミックほどではないものの、十分に自然な見た目といえるでしょう。
近年は何層にも分けて色を表現することで、より自然な見た目を得られるようになってきました。
ただし、加工が難しいため費用が高額になりやすい点や、硬度が高いことで咬み合う天然歯に負担をかける可能性がある点は注意が必要です。
ジルコニアセラミック
ジルコニアセラミックは、ジルコニアを基盤とし、その上にセラミックを焼き付けた構造を持つ複合素材です。
この構造により、ジルコニアの高い強度とセラミックの優れた審美性を両立できます。
審美性が必要な前歯から咬合力が必要な奥歯まで幅広く対応でき、長期間安定した状態を保つことができます。
また、加工技術の向上により、色調や透明感もより自然歯に近づいています。
ただし、加工には高度な技術が必要であるため、治療費が高額になることがあります。
また、セラミック部分が欠ける可能性もあり、使用には注意が必要です。
それでも多くのケースで、良い選択肢となることが多いでしょう。
メタルボンド
メタルボンドは金属のフレームにセラミックを焼き付けた構造を持ち、強度と審美性のバランスが良い素材です。
特に奥歯のように咬合力がかかる部位に適しており、長期間の使用にも耐えられる高い耐久性を備えています。
セラミックの美しさを取り入れつつ、金属の強度で補強されているため、非常に信頼性の高い選択肢です。
しかし、金属部分から歯肉に着色が起こることもあるため、審美性が最優先される部位には注意が必要です。
また、金属アレルギーのリスクがあるため、患者様の体質に応じた適切な診断が必要です。
ジルコニアなどの素材に比べると見た目の自然さではやや劣る部分もありますが、耐久性や機能性を重視する場合には優れた選択肢となります。
アバットメントの材質
アバットメントは、人工歯とフィクスチャをつなぐ重要な役割を担っており、その材質選びは審美性、機能性、耐久性、さらには生体適合性に直接影響があります。
患者様の口腔内環境や希望に応じて材質を選ぶことが、長期的なインプラント成功の鍵となります。
ここでは、代表的な材質について詳しく説明し、それぞれの特性や利点について詳しく解説します。
チタン
チタンはインプラント治療で最も広く使用されている材料の一つで、その理由は生体適合性の高さと耐久性にあります。
ここでいうチタンとは、チタン合金とは違いチタンを99%使用した素材です。
チタン合金より比較的価格が高めなのが特徴です。
チタンが99%のアバットメントは主にチタン99%のフィクスチャと組み合わせて使われます。
骨との結合性が非常に良く、長期間安定して使用できます。
また軽量で、患者様の顎への負担が少なく、耐腐食性にも優れているため、口腔内環境での使用に適向いています。
一方で、歯肉が下がってくると金属の色味が歯肉から見えてしまう場合があり、審美性が特に求められる部位には注意が必要です。
チタン合金
チタン合金は、純チタンにアルミニウムなどを加えて作られる材料で、純チタンよりも強度や加工性が向上している素材です。
そのため、負荷が大きくかかる部位や複雑な形状のアパットメントを必要とするケースでよく使用されます。
また、チタン合金も金属アレルギーのリスクが非常に低く、安全性の高い材料です。
ただし、純チタンと同様、金属特有の色が審美的な問題となる場合があります。
強度と耐久性を求めるケースで、コストも考慮しながら選ばれることが多い素材です。
ジルコニア
ジルコニアは、近年のインプラント治療で注目を集める人工ダイヤモンドの一種の素材で、強度と審美性の両方を兼ね備えています。
この材質は、天然歯に近い色合いと透明感を持ち、歯肉から透けても金属のように目立たないため、審美性を特に重要視する患者様に適しています。
さらに、金属を含まないため、金属アレルギーのリスクがなく、生体親和性にも優れています。
ただし硬度がとても高いため加工や調整が難しく、治療費が高額になることもあります。
審美的な仕上がりと機能的な性能を両立したい場合には、理想的な選択肢となります。
金合金
金合金は、耐久性、加工性、そして生体親和性に優れた材料です。
この素材は適度な柔軟性を持ち、咬合力を分散させる特性があるため、天然歯や顎骨にかかる負担を軽くできます。
また、金属の中でも特に腐食に強く、長期間安定した使用が可能です。
しかし、金特有の色味が審美性を求められる部位では課題となる場合があります。
また、素材そのもののコストが高く、治療費に影響を与える点も考慮が必要です。
それでも、耐久性と信頼性を重視する症例では、優れた選択肢といえるでしょう。
インプラント体の材質
インプラント体は、顎骨に埋め込まれる人工歯根として、インプラント治療の基盤となる重要なパーツです。
その材質は、治療の成功率や長期的な安定性、さらには使用感に大きな影響を与えます。
ここでは、代表的な材質であるチタン、チタン合金、ジルコニアの特性や利点、注意点について詳しく解説します。
チタン
チタンは、インプラント体の材質として最も一般的に使用される素材です。
その理由は、生体適合性の高さと優れた骨結合性にあります。
チタンは骨との結合が非常に良好で、顎骨にしっかりと固定されるため、長期間にわたって安定した状態を維持できます。
また、軽量でありながら高い強度を持ち、耐腐食性にも優れているため、口腔内の環境に適しています。
一方、金属の色が審美的な観点で気になる場合があり、特に歯肉が下がる可能性がある患者様には慎重な配慮が必要です。
それでも、信頼性が高く、多くの症例で使用されている標準的な材質です。
チタン合金
チタン合金は、純チタンにアルミニウムなどを加えた合金で、強度や耐久性をさらに高めた材質です。
この素材は、純チタンと同様に骨との結合性が良好で、長い間口腔内で安定が可能です。
また、加工性に優れているため、複雑な形状のインプラント体を製作するのに適しています。
ただし、純チタンと比べると金属疲労の影響を受けやすい場合があり、患者様の状況に応じた慎重な判断が求められます。
それでも、幅広い適用性を持つ素材として、信頼性の高い選択肢となっています。
ジルコニア
ジルコニアは人工ダイヤモンドの一種で、審美性と生体適合性の高さから近年インプラント体の素材としても注目されています。
この材質は、自然な白色で歯肉から透けても目立たないため、審美性を重視する患者様に最適です。
また、金属アレルギーのリスクがないため、金属アレルギーのある患者様も安心して使用できます。
さらに、耐腐食性と強度にも優れており、口腔内の厳しい環境にも耐えられる素材です。
一方で硬度が高いために加工が難しく、治療費が高額になることがあります。
また、骨との結合性についてはチタンにやや劣るとされるため、適用には十分な検討が必要です。
それでも審美性と機能性を両立できるため、選択肢として検討してみても良いでしょう。
インプラントの材質を選ぶ注意点
インプラント治療を成功させるためには、材質の選択が重要です。
素材を選ぶ際には患者様ご自身の健康状態や治療目的に応じて、一番良い素材を選びましょう。
まず、材質によって費用に差が生じることを考える必要があります。
例えば、フィクスチャーのチタンやチタン合金は比較的コストパフォーマンスが高い一方、ジルコニアなど審美性の高い素材は費用が高額になる傾向があります。
患者様の希望や予算に応じて選択をすることが重要です。
また、金属アレルギーも材質選びの大きなポイントです。
チタンは金属アレルギーを引き起こしにくい特性を持つため、多くの患者様に適していますが、稀にアレルギー反応を起こす場合もあります。
一方で、ジルコニアセラミックは金属を含まないため、金属アレルギーの心配がない素材です。
そのため、事前にアレルギー検査を実施してみるのも良いといえるでしょう。
さらに、審美性や機能性も考慮すべき要素です。
患者様の骨の状態や治療後のメンテナンスも材質選びに影響を与えるため、歯科医師と十分に相談することが必要です。
インプラントの材質選びは、機能性、審美性、費用面、生体適合性を総合的に考慮して行う必要があります。
それぞれの材質に利点と課題があるため、患者様一人ひとりの状況に応じた最適な選択が治療の成功につながります。
まとめ
インプラントの材質には、チタン、チタン合金、ジルコニアなどの種類があり、それぞれに特徴があります。
また、上部構造はメタルボンドやハイブリッドセラミックなどの選択肢もあります。
選択時には、審美性、耐久性、費用、アレルギーのリスクを総合的に考慮し、患者様の状況に一番合う材質を選ぶことが大切です。
エクシアデンタルクリニック墨田のインプラント治療
院長の専門性
当院の院長である廣嶋一哉は、公益社団法人 日本口腔外科学会の認定医であり、口腔外科に関する確かな知識と経験を持っています。
インプラント治療は手術をともなうことが多く、高度な口腔外科の知識が治療の成功と安全性のカギとなります。
当院で完結する治療計画
インプラント治療を行なっている歯科医院の中には、骨造成やサイナスリフトのような処置をほかの歯科医院にお任せする場合があります。
しかし、当院では治療の一貫性と効率性、患者様の負担軽減を重視した治療を行っているため、できる限り当院だけで完結できる治療計画を作成いたします。
最新設備と安全性への配慮
当院では、インプラント治療に必要な最新の設備と衛生管理を徹底しており、安全性の高い治療環境を確保しています。